こんにちわ.
2024/3/2付けの日本経済新聞で,注目の記事が掲載されました.
米国内の大学の特許数は日本の大学の約1.8倍にもかかわらず,特許収入は米国は日本の50倍にもなります.
大学にいる人間としても,これは非常に考えられます.
理由1:不十分な産学連携
単純に日本における産学連携が不十分という話かもしれません.
確かに,海外の論文は実用上の課題などを解決するという方向性で,研究を進め論文化しているケースが多いように感じます.(つまり企業との共同研究)
そのため,自動的に特許収入も増えているのかも.
理由2:特許への意識の低さ
これもよく指摘されていますが,有効な特許(きちんと権利が保護されるような,抜け目のない特許)が取れているのかという問題です.
また,特許戦略を立てられる人材,特許に詳しい人材が大学内に基本的にいないということも課題です.
とある国内自動車会社の話になりますが,各々の研究者に特許の数のノルマがあるらしく,それを取らないとボーナスも貰えないそうです.そのため,とりあえず適当に浮かんだアイディアで新しければなんでも良いというスタンスで特許をとっているという話を聞いたことがあります.この方法では,確かに特許数は伸びるかもしれませんが,本当に有効な特許を取れるのか疑問が残ります(まれに当たるのかもしれませんが).
国内の大学でも同じで,特許の数は研究者個人の評価の際に見られますが,その内容まできちんと吟味されているとは思えません.
研究者,大学,企業間の意思疎通が重要
結局,これらの原因を追求していくと,(大学でも企業でも)研究者の意思疎通の低さが課題だと思います.
基本縦割りの大学内では,隣の研究室でさえ何をしているのかわからないというのが現状です.同じ大学内ですらこのような状況なので,対外的な情報発信などほとんどされません.
そうすると,企業は大学にどのような技術や知見があるのかわからないし,大学は世の中のニーズを正確に捉えられないということになりかねません.
我々は現在,研究者間の意思疎通や,技術や知見の共有を目的とした,動画プラットフォームを構築しています(もうすぐ公開されます).ぜひご活用ください.
若手研究者の育成
また,研究者の数を増やしていくこと(若手研究者の教育)も重要です.
ある程度大きい研究室では,逆に企業から共同研究の話はたくさん来るものの,人手不足で共同研究の申し入れを断るケースも多くあるそうです.(共同研究費が多い共同研究を優先する)
我々のプラットフォームは,若手研究者の育成という観点でも有効です.今後本プラットフォームと通して,日本における研究や科学技術の発展に貢献していきたいと考えています.
廣瀬